【寄付月間2020特別レポートvol.10|社会課題の解決に取り組むことは社会貢献にも成長の機会にもなる #寄付月間】

皆さんこんにちは!インターン生のかなりんとはるのんです。今月1日から始まったこの「寄付とわたしと。」 も、今日で10日目です!寄付経験を持つ様々な方のお話を聞く中で多くの発見があり、毎日楽しく記事を書くことができています。

さて本日は、NPO業界の様々な取り組みに精通されている山田泰久さんの寄付経験を皆さんにお届けしていきます。また、今回はスペシャルロングバージョンということで、山田さんがこれまで歩まれてきたソーシャルセクターとしてのキャリアについてのお話や、感じていらっしゃる社会の変化、寄付が持つ可能性などのお話を聞かせていただきました!

<プロフィール>
山田 泰久(やまだ・やすひさ)

1996年日本財団に入会。2009年から公益コミュニティサイト「CANPAN」の担当になり、NPO×情報発信、助成金、IT活用をテーマに様々なNPO支援の活動に取り組む。2016年4月、(一財)非営利組織評価センター(JCNE)の設立とともに、業務執行理事に就任し、非営利組織の組織評価・認証制度の普及にも取り組む。

ソーシャルセクターでキャリアを歩もうと思われたきっかけを教えて下さい。

ファーストキャリアが日本財団・大学ではフランス文学を専攻されていたと山田さまの記事で拝見したのですが、なぜ新卒でソーシャルセクターになることを決められたのですか?

文学を読む中で、人の人生を垣間見る機会がとても多く、私もリアルに人の人生を垣間見れることがしたいなと思っていました。また、就職活動で「働く」ことの定義について考える中で、働くとは、「人の役に立つこと」だと考えました。日本財団をファーストキャリアに決めたのは、人の役に立つことを仕事にしたいと思ったためです。

文学が今の人生に繋がっているということで、「思い出の一冊」のようなものはございますか?

トム・ソーヤーの冒険などを書いたマーク・トウェインの『人間とは何か』という本ですね。今の仕事にも大きな影響を与えた一冊で、「人はなぜ他者を助けるのか」について説かれている本です。その本では、「人は誰かを救わなかった自身の不甲斐なさや罪悪感を感じなくするために、誰かを救うのだ」つまり、自分のために誰かを助ける、という風に書かれていたのがとても衝撃的でした。

原田:すごく深い内容の本ですね…一見、こちらのご本の内容はソーシャルセクターの方々を否定しているようにも正直見受けられたのですが、今のお仕事に繋がっていると感じるのはどうしてなのかお聴きしても良いでしょうか?

山田さん:「なぜ周りの人は誰かを助けたいと思っているのか・助けるのか」を知りたいからです。日々様々な社会課題に取り組まれている団体の方と接する中で、自分の知らなかったことを知れる瞬間に何度も立ち会う瞬間があります。それが今の仕事のモチベーションになっています。

「NPO」「寄付」などがご自身にとって身近になったきっかけはございますか?

仕事で携わったことが一番のきっかけです。2009年にCANPANのサイトの担当になったことで、いろんなNPOの方と関わる機会が増え、また各団体が発信している情報をこまめに見るようになりました。

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actcoinを始めたきっかけはなんですか?

 私自身NPO団体を支援するような仕事をしているんですが、同じようにアプリを活用してNPOを支援しようとする佐藤さん(actcoin:代表)にイベントでお会いして。その時彼が取り組んでいたのがアクトコインだったんです。ソーシャルアクションが可視化されるというのはとても面白そうだったので、アプリが出来た時は速攻で登録しました。佐藤さんとは、『社会貢献×IT』という共通項があるんですよね。

寄付先を選ぶときの決め手はありますか?

 自分が共感できる活動で、かつ信頼できる団体に寄付しています。特定の分野はありません。これまでは、クラウドファンディングだけでも60件以上、寄付の数は数え切れません。ですが、活動を知って応援したいと思っても、その団体が自分のお金をきちんと使ってくれるか分からないという情報開示の問題がありますよね。その団体を信用できなければ、応援したくでも出来ない。だからこそ、第三者機関による評価や認証が必要になると思い、現在、非営利組織評価センター(JCNE)を設立しそれらの普及に取り組んでいます。信頼して、応援できるNPO団体が増えればと思っています。

 また、最近では、今年の3月から7月までの4か月間、毎週、新型コロナに取り組んでいる団体に寄付するということをしていました。コロナ禍でお金を使うことが元々減っていたこともきっかけとなり、せっかくなのでコンビに行くことを控えるなどして毎週5000円程度を節約しそのお金を寄付していました。

思い出の(印象に残っている)寄付はありますか?

 新型コロナで、10個以上の団体に寄付をしました。それぞれの団体が状況が目まぐるしく変わる中で、いろんな工夫をされていました。一つの課題で複数の団体を支援したからこそ、その違いを感じることができた、貴重な機会です。具体的に感じた「違い」とは、例えば取り組んでいる問題の枠組みが同じであったとしても、その対象や取り組みは団体ごとに異なっているのだ、ということです。それだけ世の中には多くの社会課題が複雑に絡み合っているのだと実感しました。また視点を変えて問題を捉えることで、違う側面に気づくことができ、社会問題に関する新たな気づきも得ることができました。

寄付を通してどんな社会になって欲しいですか?

 社会課題の解決にチャレンジしているを応援する文化がある社会にしたいですね。これまで寄付をもっと社会に浸透させるためのプロジェクトに携わってきましたが、寄付が持つ可能性という点からお話をすると、「寄付というアクションを通じて誰もが社会課題の解決に参加できる」というのがとても大きいなと思います。

 以前はNPOの人たちも情報公開など上手くできておらず、寄付をすることの抵抗が少なからずあったと思います。ですが今では、インターネットの普及やSNSなどを通じて、お金の使い道などの情報が開示されており、詳しく知ることができます。使い道だけではなく、寄付を通してどんな風に社会問題が改善されつつあるのかも知ることができるようになってきたので、自分のアクションが解決に繋がることをより実感しやすく、それがモチベーションにも繋がっているのではと感じています。

長くソーシャルの世界に関わってきて、ここ数年で山田さんが感じた変化があれば聞かせていただきたいです。

 主に、二つの変化を感じます。一つ目は、デジタル化による、NPO・ソーシャル活動の活性化です。それこそアクトコインなど、インターネットを通じて、これまで知らなった人々にNPO活動についてしってもらえる機会が増えたと思います。また、SNSをなどが、ソーシャルアクションの普及を加速させることもあると思います。ただしSNSに関しては、偏りが出やすく、注目されやすい団体や取組に支援が集中してしまったりする恐れもあるので、それには注意することが必要です。

 二つ目の変化は、社会課題に関わるプレイヤーが増えたということです。これまではNPO団体や行政というセクターだけでしたが、今ではビジネスセクターも社会貢献について考えることが一般的になってきています。SDGsの影響も大きいですよね。また、若い世代もソーシャルセクターに興味持つ人が増えましたよね。

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最後に、寄付に対する苦手意識のありそうな方にメッセージをお願いします!

 まずは、試しに寄付をしてみてはどうでしょうか?せっかくなので、3,4つ、団体をピックアップして、いろいろ比較して選んでみる体験をすると、いろんな発見があると思います。

 ただ寄付をする際には、自分のお金を託すことになりますよね。その団体がちゃんと自分のお金を使ってくれるかなど、使い道などの情報をもっと開示してほしいという方もいるのではないでしょうか。寄付文化がもっと世に浸透するには、団体の信頼性がわかる判断材料となるようなサービスが必要だと思います。

 私も今社会貢献×ITという分野でお仕事をする中で、以前担当していたNPOの情報発信のプラットフォームービスの作成(CANPAN)でそういったことに取り組んできて、今は、非営利組織評価センターでNPOの信頼性を示す組織評価を推進していますが、安心して寄付ができる環境や、社会になっているといいなと思っています。

ソーシャルセクターに関心のある若者にもメッセージをお願いします!

 ソーシャルセクターには、色々な活動があり、様々な分野が有ります。その中で、皆さんが関わることによって課題解決が進むことが必ずあります。また、私が伝えたいことは、社会課題の解決に取り組むことは、社会貢献になる一方で皆さんにとっても成長の機会になるということです。社会の中のあらゆる現象や取組、それに携わる人々を知ることが出来ます。最近では社会人でもソーシャルセクターに関わることによって様々なことを学び続けることも出来ます。

 『とんかつDJアゲ太郎』とい映画を知っていますか?とんかつ屋とDJの二足の草鞋を履いた主人公が、それぞれの気づきをもう一方の職業で活かす様子が描かれています。そのように、ソーシャルセクターでの知識や学びをもう一方の自分の専門分野で活かすなんてこともできるんじゃないでしょうか。

 私自身も、自分の知的探究心に従って現在のキャリアにいます。今では、ソーシャルセクターをより良くしたいと思い仕事に従事しています。皆さんも、ご自身の強みや好奇心を社会貢献に生かすことが、きっとできると思います。


◯編集後記

山田さま、ありがとうございました!

寄付経験と絡めて、山田さんの中で「寄付」というアクションが身近になったきっかけ、ソーシャルセクターとしてのキャリアについてなど幅広く拝聴することができ、とても貴重な機会となりました。最近では就職活動の軸に「社会貢献性」を重視する学生が増えている風潮がありますが、そういった方にとって、今回の山田さんのお話が非常にためになった方がたくさんいるのではないかと思います。

そんな山田さんは、特に寄付についてSNSなどを用いて日頃から有益な情報を発信しています。以下にnoteのリンクなど掲載しましたので、是非ご覧くださいませ。

  • キフクリエイターnote
    • 昨今の寄付を取り巻く事情について、また寄付について気軽に知ることができるYoutubeチャンネルなども紹介されているnoteです。
  • Twitter
    • ソーシャルグッドな取り組みや商品の事例について発信をされています。
  • NPOと CANPANと 山田
    • 日本財団について、CANPANについて、またNPOについての説明資料です。

<interviewer>原田 佳奈静岡県出身、大学4年。actcoinで学生インターンをしながら、下部組織のactcoin for youthで組織マネジメントを担当。actcoinが見据える、「社会貢献活動が世に浸透する」「社会を思う愛と優しさ・勇気を可視化する」のコンセプトに惹かれ、ジョインを決意。

<supporter> 一森 春乃兵庫県在住。関西学院大学 国際学部 2学年。actcoinforyouthでメディア発信、ソーシャルウィークエンド(若者向けオンラインイベント)開催を担当。10月からactcoin本部での学生インターンを開始。自身の社会的関心に合ったキャリアを形成できる社会を目指し自らも奮闘中。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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>actcoin for youth

actcoin for youth

若者のソーシャルプラットフォーム「actcoin for youth」

一人ひとりの社会貢献活動を可視化するプラットフォーム actcoinの学生組織。

ユース世代(U25)がもっと社会へ関心を抱き、若者から社会を変えていくために、
わたしたち actcoin for youth は日々活動しています。

一緒に組織を大きくしていく仲間を募集しているので、
ご興味ある方はお気軽にご連絡ください。

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