皆さん、こんにちは!actcoin for youthで活動しているえりりんです!
5月22日の土曜日にactcoinforyouthが主催するソーシャルウィークエンドが開催されました。
18回目となる今回は、 株式会社アグクル代表の小泉泰英さんに「発酵の道に進んだきっかけ」や「グラデーションで考えるサスティナブル」というテーマを軸にお話ししていただきました。
なお、新たな試みとして「トークセッション」を導入し、小泉さんとユースメンバーの対話を通じて、内容を更に踏み込んでいったところが印象的になっております!ぜひ、注目してください(*^^*)
講演
最初に、小泉さん自身のことや事業として取り組んでいることを紹介していただいたので、以下にまとめたいと思います!
大学4年生の時に「アグクル」という会社を創業した小泉さん。好きだなと感じたらやり続けるタイプで、大学に入学してからは農学部であることを生かし、農業に関わることに挑戦し始めました。その一環として、アスパラ農家のところに一年間研修に行く計画をしたのですが、若い人が地域に行くことの期待感に耐えられなくなり、途中で辞めてしまい、初めて挫折のようなものを味わったそうです。
自分がこうしたいからこれをやっているという時に辛くなってしまう。何で人は生きるんだろう?自分はどんな人生を創りたいんだろう?と、考えた時に出会ったのが内村鑑三さんという思想家だったとお話してくださいました。この思想家は、「君の人生という生きざまを次の世代にどう残せるかが大切だ」と語っていて、それが小泉さんの心に響いたそうです。
そして、この一瞬を最高の選択をして生きるみたいな人生への憧れから、もともと興味があった”起業”という道に向かうようになった、というのが今までの経緯となっています!
☆ちなみに、「Forbes」という雑誌の中で、Z世代の「これからの理想」30という所に小泉さんも掲載されています。
会社のことについては、「アグクル(=会社名)は「社会を発酵させる」というミッションのもと発酵食品としての事業だけでなく、人の心も発酵させていけることを目標に考えている」と語ってくださいました。
人間に対して害があるもの→「腐敗」
人間に対して良い働きをするの→「発酵」
であるので、後者の「人間に対して良い働きをしていく」というところに注目し、そういう社会を作ろうというところから「社会を発酵させる」というミッションを掲げるようになったそうです。
また、「発酵」を通して全てを循環させ、最終的に目指す領域としてはゴミやフードロスなどで出たものを発酵させること。そして、そこから有機の肥料を作ったり、ガスや熱を作り出したりすることでエネルギーを作り、脱石油社会に対して発酵が寄与していくこと。先進国にとってはクリーンエネルギーに、途上国にとっては自分達のゴミで一部エネルギーを時給できるといったような世界が来て欲しいと願う小泉さん。会社としては「発酵界のユーグレナ」を目標にしているそうです!
トークセッション
トークセッションではレポート執筆に引き続き、「えりりん」こと田淵絵理花が担当しました。(※イベント当日の雰囲気を感じて頂きたいため、言葉遣いなどはほとんど変えていません。)
田淵)早速なのですが、「アグクル」という会社名はどういった由来で名付けられたのでしょうか?
小泉さん)「アグリクルトゥーラ」というラテン語で「農業」という意味から取っています。何故、ラテン語を引用したかというと、一つには「メルカリ」もラテン語で「商い」みたいなところがあるので、そういった感じがカッコ良さそうというのがありました。もう一つとしては、新しいものをどんどん見つけようというよりも、昔(原点)から大切にされていたものに価値が見出せると思い、もともと言語の大本だったラテン語に注目したというのがありました。
田淵)なるほど!では、「農業」というのは創業する時に中心にしたいキーワードだったのでしょうか?
小泉さん)そうですね。自分の中で「農業」は、「アグリカルチャー」と「アグリインダストリー」という2つの意味があると思っています。「アグリ」は「土・畑」という意味があり、「カルチャー」は「文化」という意味があるので今、農業というと「産業」としての農業、すなわち経営としてのイメージが強いと思います。ですが、そういうのは逆に「アグリインダストリー」かな、と感じています。なので、どちらかと言えば「農業」という軸よりも「アグリ」+「カルチャー」といったような自分達の手によって文化を耕していくという概念を大切にしたいと思い、「アグクル」に繋げました。
田淵)「アグリカルチャー」を「農業」と一区切りにするのではなく、分けて考えるのは、とても素敵だと思いました!次に、小泉さん自身のことについてお聞きしたいのですが、そもそも”発酵”というところに注目したきっかけは何だったのでしょうか?
小泉さん)はい。僕は、どちらかと言えば、消去法で農学部を選択したんですけど、入ったからには絶対ここにいる意味があるなと感じたところから始まります。そして、実際に農業に関わるようになってから、米農家さんの厳しい現実(①)を知るようになり、米を米として沢山食べるのは難しいけど、別の方法があれば良いのになぁと思うようになりました。そんな時に、以前から気になっていた「発酵」に行きついたという感じです。錬金術みたいな発酵の良さは「時間が経つことが価値」であるということ。それは、これからの豊かさにも必要なことだと思います。そういったところから「発酵って面白いな」と、のめり込むようになりました。
田淵)ありがとうございます。最後に、大切にされている言葉として「自己中心的利他」というワードが挙がっていましたが、そこをもう少し詳しく教えていただいても良いでしょうか?
小泉さん)はい。そもそも、この言葉自体を知るようになったのは、友達が言っていたのがきっかけです。自分の欲を追求した結果、誰かを幸せにしているというのは、まさに発酵菌の本質であり、僕もそんな人間になりたいと思うようになりました。発酵微生物の哲学を話しても響かないと思いますが、発酵の良さをシンプルに「自己中心的利他」と表すことで共感を得られると考えたのです。これは今後の世の中においても大事な価値観になると信じています。
田淵) 初めて聞いた言葉でしたが、とても素敵だなと思ったので、私もこの言葉の意味を大切に生きていきたいと感じました。
※一部、文章を省略しています。
グラデーションについて
もう一つのテーマである「グラデーション」について小泉さんにお話していただきました!以下にまとめてあります。
自分が納得感を得て生活でき、身体共に幸せを感じられる点は人それぞれ違うと思います。しかし、基準が異なっていても、全部がその人なりのサスティナブルでありSDGsの価値観でもあります。そういった事を冒頭に述べられた小泉さん。現在は、使用済みのプラスチックを微生物で分解できないかということを考えており、将来的に事業で展開していくことも視野に入れているそうです。また、原子力と向き合っていく時は、放射能分解する微生物だったら新たな一点になるのではないかという考察もお話してくださいました。微生物を通して地球のサスティナブルのグラデーションを広げていき、私たちの心の循環に対しても価値観自体、広げていくこと。そうしたことを通じて、安全で地球に良いことに貢献していきたいという熱意、素敵だなと思いました。
☆商品紹介
肌荒れやアレルギー疾患、冷えの不調などは”腸内劣化”が原因となって引き起こされることが多いです。その改善策として「野菜」と「発酵食品」を合わせられる提案をすることが、助けになるかもしれないという想いからアグクルでは、フードコスメ、「オリゼ」を販売しています。この商品は食べるコスメみたいな概念でやっているもので、糀を使ったソースになっています。使い方としては、そのまま野菜にかけたり、料理の中に入れたりといったように様々な方法があるので、気になった方は是非、購入してみてください!
最後に
前半では、小泉さんの生き方や会社のビジョン、ミッションなどをお話しして頂きました。特に印象的だったのは、「発酵」は健康だけでなく、人の心・社会をも幸せにするということや「自己中心的利他」は今後の社会において大切な価値観になっていくと語って下さったことです。将来、検索をかける時「発行」より「発酵」が出てくるのが目標であるというのも素敵だなと感じました。
また、後半のグラデーションのテーマでは、微生物を中心に地球のサスティナブル、そして私たちの心の循環を築いていくことを目指しているということをメッセージとして伝えてくださいました。実際、グラデーションを言葉にするのは難しいのですが、自分なりに感じている違和感などはあると思います。 皆さんもぜひ、 それを深く考えることから始めてみてはどうでしょうか…?きっと素敵なグラデーションが見つかると思います。
今回のイベントを通して、沢山の学びを得ることができました!私も「発酵」が社会や世界を変える、そんな世の中になることを願っています。
登壇して頂いた小泉さん、参加して下さった皆さま、本当にありがとうございました!