皆さんこんにちは!actcoinforyouthの、ひよりんと、はるのんです。現在私たちは、「ヴィ―ガン」という選択・ライフスタイルについて、vegan特集で発信中です!
さて、本日は、高校生でヴィ―ガンというライフスタイルを選び、以来、自身の日常生活を通し社会課題の解決に貢献する夏海さんに、ヴィ―ガンについてインタビューさせていただきました。
実際にヴィ―ガンとして生活することの、嬉しいことや困難なこと、そして、これまで知らなかったヴィ―ガンの一面を、是非皆さんご覧下さい。
〈プロフィール〉
夏海(なつみ)さん
中学生の時、世界の社会・環境問題を学び、学生でもできる社会貢献の在り方を模索する。高校では、エシカル消費について学ぶためカナダのフェアトレード タウンで一年間留学し、現地のフェアトレードショップやファーマーズマーケットでボランティアをする。大学進学後、「一人の100歩より百人の1歩」を行動軸に、sharedビジョンを持つ仲間とビーガンキャンペーンや古着交換会の開催など草の根活動に携わる一方、ドイツやインドネシアのソーシャルビジネスで勤務経験を積む。今は、あるスタートアップで代替肉とプラントベースのライフスタイルを広げるために日々奮闘中。 得意料理: パッタイとアップルシナモンパンケーキ 座右の銘: “Be the change you want to see in the world” 世界を変えたいなら、自ら動くのみ -Mahatma Gandhi |
1.ヴィーガンになったきっかけ
きっかけはなんでしたか?
私がヴィーガンになったのはカナダに留学中の高校2年生の時です。しかし、留学以前から、社会問題に対し葛藤を抱いていました。
まず、高校1年生だった頃、授業で中国国内の農村部と都市部の経済格差について調べる授業がありました。世界の格差の深刻さに胸を締め付けられましたが、そのような問題に対し、当時高校生である自分自身が出来ることは少ないと感じました。先輩などに話を聞くと、寄付や現地でのボランティアによる国際協力活動を教えてもらいましたが、高校生だった自分にとっては難しい選択でした。
そんな中、「フェアトレード」という考えに出会いました。自分が消費者として物を買う事を通して、日常的に社会貢献できるという点に惹かれ、「フェアトレード」、「エシカル消費」について勉強するようになりました。
今では「フェアトレード」や「エシカル消費」は日本でも有名ですが、私が高校生だった2015年頃は全くメジャーでありませんでした。そこで、エシカル消費が盛んな北米やヨーロッパでより真剣に学びたいと思い、高校2年生でカナダでフェアトレードタウンに指定されているエドモントンという都市長期留学を決意します。
留学先では、フェアトレードを学ぶため、学校に通う以外にも、社会的・経済的に豊かじゃない地域を支援する Ten Thousand Villages Canada という組織で1年間ボランティアを経験しました。
そのように、存分に「フェアトレード」、「エシカル消費」について学んでいた私ですが、「ヴェジタリアン」や「ヴィ―ガン」といった選択は正直自分にとって身近ではありませんでした。
それらが私にとって一気に身近になったきっかけは、現地で通っていた高校のクラスメイトの中にヴィ―ガンの友達がいたということです。私はその友達にヴィ―ガンに関する本やドキュメンタリーを教えてもらったり、家に呼んでもらって一緒にヴィ―ガン料理を食べたりしました。そうしてヴィ―ガンについて少しずつ知った後、2016年頃から、自分も環境・社会への負担が小さいライフスタイルを選びたいと思い、ヴィ―ガンになることを決意しました。
その友達に教えてもらったことや一緒に過ごした時間は、今もヴィ―ガンを続ける上で、非常に大きなモチベーションとなっています。
夏海さんがヴィ―ガンになったことへの周りの反応はどうでしたか?
主に、心配の声と応援の声の二つがありました。
心配の声に関しては、「栄養は大丈夫?」「成長期なのに?」「将来的な健康の問題に繋がるんじゃ?」というのが多かったです。もちろん心配の声も、優しさや愛ゆえなんですけども。
応援の声は、やはり社会課題に既に関心のある人の中でかけてもらうことが多かったです。現在の環境や社会に対する問題を知っているからこそ、私のライフスタイルを応援してくれました。私は、自然とそのようなコミュニティの人たちと関わることが多くなりました。
また、食事を伴う会合では、私が「好き嫌いしているのでは」といった誤解も多々ありました。そのような中で私が特に気を付けていたことは、「自分の選択を無理に理解してもらおうとしない」ということです。
後発的に理解・応援してもらえるようになればいいと思い、友達とのポットラックパーティなどではヴィ―ガン料理を振る舞い、興味を持ってくれた人に詳しく話すなどしていました。
2.ヴィーガンの食生活について
どのように食生活を移行しましたか?
私がヴィーガンの食生活に移行しはじめた当時は留学先でホームステイ中だったので、自分で全てのコントロールは出来ませんでした。
まずは出来る範囲で、なるべく動物製品を避けることから始めました。また、外食する時は、べジタリアンのオプションのあるお店を選びました。数か月後からは、自分でヴィ―ガン料理を作ったり、ホストファミリーにヴィ―ガン料理をふるまったりするようになりました。
私は一日でヴィ―ガンになったわけではなく、数か月はフレキシタリアンでの生活でした。
その時は自分の食生活が最優先事項ではなかったので、最初は無理のない範囲で続けていました。
今までと真逆の食生活になり大変だったことはありますか?
一番は、今まで買っていた既製品が買えなくなったことです。留学中は忙しかったので既製品を買うことが多かったのですが、シリアルやインスタント食品などの既製品を買えないという点が大変でした。そのため、週末にその週の料理を作り置きするようにしたり、小腹がすいたときに食べられるナッツやドライフルーツを用意したりするなどして工夫しました。
また、自分の社会生活の中で、ご飯会や飲み会で周りの人と一緒に行けるお店が少ないという点でも大変でした。これは日本に帰国後、特に感じました。なので、大勢の集まりがあるときは、進んで幹事になりました。お店を選んだり、お店の人に直接確認したりできるので、ヴィ―ガンの選択をしたい私にとっては好都合なんです!(笑)
あとは、エスニック料理屋を選ぶのがおすすめですね。エスニック料理はヴィ―ガンへの配慮が多いし、なにかを取り除いてもらうことを和食や洋食よりも出来やすいと思います。
必要な栄養はどのように摂取していますか?
ヴィーガンは、必ずしも健康だとは限りません。ヴィ―ガン、ベジタリアンは健康で痩せているというイメージですが、ポテトチップスやプロセスフードでもヴィ―ガンの食事が出来るということを考えてみてほしいです。
なので、必ず健康とは思わないで欲しいです。ヴィーガンの食事は、鉄分、亜鉛、ビタミン12、オメガ3などの栄養素が欠けやすいのです。あまり精製(プロセス)されていないものを選ぶ事が重要だと思います。そうしたら栄養素が足りないことが少なくなるという多くの研究結果もあるので。
栄養が足りているかを確認できるアプリを利用するのもいい手段だと思います。自分が食べたものをインプットし、栄養素やカロリーを測ってくれるものがあるので、何の栄養がが足りていないのかを知ることが出来ます。足りないものは、サプリで補給したり、栄養補助がされている食品などがたくさんあるのでそれらを活用することもあります。
栄養素については、ヴィーガンになったばかりの時は勉強しました。周りの人に聞かれたときに、根拠を持って説明できるようになりたかったので。
3.ヴィーガンになって変わったこと
健康面で変わったことを教えて下さい。
最初に、これは私の個人的な感覚であることを前提に聞いていただきたいです…!
まずは、午後に眠くなることが少なくなったように思います。ヴィ―ガンを始める前は、午後になると寝ずには立っていられないくらいすごい眠気が襲ってきていたんですが、ヴィ―ガンになってからとても改善されました。
また、寝つきと寝起きも良くなりました!あとは、身体が軽くなったように感じます。以前は身体がだるく、重く感じていた日も多かったですが、ヴィ―ガンになってからは身体が軽いです。精製食品を食べることが減り、自分で作ることが多くなったことが良かったんじゃないかと思います。
あと、健康面で良かったと思うことは、食や栄養に関して自ら意識するようになったことです。ヴィ―ガンになってから、自分が口にするものを気にかけたり、食事と自分の体調について、積極的に考えるようになりました。
精神面はいかがでしょうか?
ヴィ―ガンを始める前までは、自分が社会に対して願っていることに対して、自分が出来ていることが少ないと思っていました。しかし、ヴィ―ガンという選択や食生活を通して、日常的に社会に貢献することが出来、自分の価値観を実現して生活できているという実感を持てるようになりました。これは自己肯定感などの精神的な健康に良い影響を与えていると思います。
そのほかにはありますか?
ヴィ―ガンに関しては、健康面や心理面についてを聞かれることが多いのですが、もう一つ、私が大きく変化したと思う点は、社会面です。
ヴィ―ガンになったことをきっかけに、知り合う人のコミュニティに変化が生まれたと思います。自分がヴィ―ガンであることを発信することで、それまで知り合わなかった面白い人に出会える事が増えました。
例えば、社会課題に関心の高い層や、それに対しアクションを起こしている人たちです。
ヴィ―ガンやヴェジタリアンは現在、メインストリームとは異なるカウンターカルチャーとなりますので、現在の状況に向き合ったり、世の中の当たり前にチャレンジしている人と出会えることが多くなりました。
そのような人は私にとっても非常に刺激になりますし、私も、現在の社会を鵜呑みにするのではなく、時に疑い、現状に立ち向かう姿勢というのを、ヴィ―ガンになったことで育むことが出来ています
4.ヴィーガンを続ける上で気を付けている事があれば教えて下い。
周りの人との関わり方に気を付けています。
ヴィ―ガン・べジタリアンになると、自分がそのアイデンティティに固執する人が多いと思います。ですが、それは自分のアイデンティティの一部でしかない、というマインドセットを持つことが大切です。個人的には、ヴィ―ガンは自分のライフスタイルの選択の1つで、それが自分自身を決める一番大きな部分ではないと考えています。
ヴィ―ガンであるということに固執すると、普遍的な考え方を忘れてします。ヴィ―ガンはカウンターカルチャーであるため、理解してほしいという考えはあると思いますが、そこに固執するとそうでない人との溝が深まってしまいます。
頭の片隅に皆に意識してもらいたいことは、「周りの人に知ってもらいたい」、「周りの人にも実践してもらいたい」と思っても、食生活にも多様なものがあるし、誰もがその食生活を送れるわけじゃないということです。家庭環境などもありますし…!
5.アドバイス
ヴィーガンの、食生活への簡単な取り入れ方を教えて下さい。
特別な料理を試すよりも、普段食べている物をプラントベースに代えてみる、ということを実践してみてほしいです。ヴィ―ガン・ベジタリアンのお店があったらそこに行って、それを真似して家で再現してみることも楽しいのではないでしょうか。
日本国内にはヴィーガンに対応しているお店が少ない地域もありますが、YouTubeやクックパッドなどを使って、いつも食べているものをべジタリアンにアレンジすれば楽しく食事へ取り入れられると思います。楽しくないと続かないので…!
普段の料理じゃなくで新しいのにチャレンジしたいという人は、エスニック料理にチャレンジしてみるといいかもしれません。多国籍の料理にはベジにアレンジしやすいですよ!
ヴィーガンで、おすすめの商品・食品はありますか?
専門店、オーガニックのお店に行けば手に入る物もありますが、どこでも手に入る物でおすすめなのは、ひよこまめやえんどうまめです。これらは日本の食生活で取り入れることは少ないですが、ペーストにしても美味しいし、煮ても焼いても揚げても美味しいので、缶の豆をもっと使ってみて欲しいです!
また、オムニミートもおすすめです!これは、お米、シイタケ、えんどう豆、非遺伝子組み換え大豆からできていて、豚のひき肉の代替として料理に使うことが出来ます。挽肉なのでミートボール風にしたりパティにしたりできるのでとても使いやすいです。コレステロールも少なかったり、味もおいしかったりで良いこと尽くめです!
植物性のミルクだと、豆乳が手に入りやすいですよね。私がオススメなのはオーツミルクです。オーツミルクはアーモンドに比べて必要な資源が少ないし、味もとても美味しいですよ。
色々と試してみるのが楽しいと思います!
最後に、ヴィーガンに興味がある人や、なろうとしている人へメッセージをお願いします!
ヴィ―ガン・ベジタリアンになる理由として、「気候変動に対してアクションしたい」とか、「動物の権利を守りたい」、とかがありますが、「健康でいたい」とか、「食生活を見直したい」とか、「他の人と違うことをしてみたい」とか、そういった軽い気持ちでも大丈夫だと思います。赤身肉だけ辞めてみたり、牛乳だけ変えてみたり、少しでもいいから試してみて欲しいです。
ヴィ―ガンの人には傾向として完璧主義者である人が多いような気がしますが、そんなに重たくなくても、少しでも興味があったら自分ができる範囲や頻度でやってみて欲しいですね!
詳細
- 文中で紹介された栄養管理アプリ ( プラントベース食生活をしている方に向けた摂取栄養素管理アプリ ) はこちら。
- お米、シイタケ、えんどう豆、非遺伝子組み換え大豆からできているオムニミート (豚のひき肉の代替肉としてご活用いただけます) の詳細はこちら。
- ヴィ―ガン・畜産に関する事前知識は、1つ前の【vegan特集 No.1|お肉が出来るまで。畜産の環境問題。『ヴィ―ガン』とは?】をご覧ください!記事はこちら。
<インタビュー後記>
夏海さん、この度は貴重なお話聞かせていただきありがとうございました…!社会問題の現状に強い思いで立ち向かいながらも、「ヴィ―ガンという選択を無理に分かってもらおうとしない」「ヴィ―ガンというのは自分のアイデンティティの一部でしかない」と、ヴィ―ガンであることに固執しない夏海さんの言葉はとてもかっこよかったです。また、ヴィ―ガンとそうでない人との溝を深めたくないと、ヴィ―ガンに少しづつ興味を持っている私たちに、「軽い気持ちでも大丈夫」「自分が出来る範囲で、頻度で」と、優しい言葉をかけてくれました。強く優しく、ご自身の価値観を実現し生きる夏海さん、本当に素敵です・・
夏海さんのお話を聞き、より一層「ヴィ―ガン」という選択肢に興味を持った私たち。
次回の記事【vegan特集No.3】では、なんと、夏海さんに教えていただいたオムニミートを使ってヴィ―ガン料理にチャレンジします…!お楽しみに☆彡
ひよりん・はるのん