個人の社会貢献活動の履歴を可視化するサービス「actcoin」は、サービスローンチ3周年を2019年1月に迎えました。記念として2022年3月5日に開催した3周年イベントの開催レポートを発表します。
▼actcoinとは 「actcoin」とは、社会を良くするアクションで仲間がつながるプラットフォームです。 SDGsの達成に寄与する「ソーシャルアクション(学び、習慣、寄付)」に対し、売買のできない独自のソーシャルグッドコインの付与を通じて、多くの人のアクションを応援しています。アクションの履歴はマイページで確認することができ、個⼈の社会貢献活動の可視化に取り組む⽇本初のサービスとなっています。(詳細はこちら) |
イベント当日の様子
初めてのソーシャルアクター表彰式を開催
■ソーシャルアクションを「新しい価値」に
本イベントでは、actcoinのミッションであるソーシャルアクションを可視化し、『新しい価値』に変える。」の実現に向けて、ソーシャルアクター表彰の副賞特典やトークセッションを設計しました。
3周年記念イベントでは、actcoinで積極的にアクションを重ねている方を表彰する「ソーシャルアクター表彰式」を初めて開催しました。
受賞項目は社会課題を学ぶ・実践するプロジェクトへの「参加」、非営利組織への「寄付」、そして日々の社会にやさしい行動「習慣」の3つです。それぞれのアクションでの獲得コイン数が上位のユーザー合計9名を表彰し、トロフィーと副賞を贈呈しました。
社会課題解決のために挑戦する2人のゲストから
■ゲストプレゼンテーション
ソーシャルアクションカンパニーが大切にしている価値観である「Be the Change, Change the Future.(未来のための変化を、一人ひとりが自分から。」になぞらえて、「私が大切にしてきた”Be the Change”」をテーマとし、企業として、個人としてソーシャルアクションに取り組む方とともにトークセッションを行いました。
□ゲスト:キニマンス塚本ニキさん 東京都出身。9歳の時にニュージーランドに移住。オークランド大学で映像学と社会学を専攻し、アムネスティ・インターナショナルでのインターンシップ、フェアトレード事業での啓蒙活動などを経て、日本に帰国。2010年にフリーの英語翻訳・通訳として独立し、政治情勢から音楽・カルチャーまで幅広い現場に携わる。2020年に公開されたフードロス映画『もったいないキッチン』では監督の通訳兼旅のパートナーとして出演。同年からTBSラジオ『アシタノカレッジ』のパーソナリティを務めている。 |
□ゲスト:パナソニックセンター東京/長島 史威さん 1982年、島根県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学法科大学院修了。2011年、パナソニック電工株式会社(現:パナソニック株式会社)入社。以来、法務畑を歩むも、2018年、社会課題を解決できる新事業の創出を目指して、新事業開発部門へ社内転職し、太陽光電力事業等を担当。その後、松下幸之助創業者の理念に立ち返った活動を行うべく異動を希望したパナソニックセンター大阪(※)で、2021年4月、社会課題の解決を目指すコミュニティスペース「あるままBASE」を立ち上げ、運営。(※2022年1月末で営業終了) |
トークセッションを行う前に、ゲストのお二方から自己紹介を兼ねたプレゼンテーションをお聞きしました。
まず最初はパナソニックセンター東京の長島さん。2021年4月から2022年1月末まで、パナソニックセンター大阪にて運営されていたコミュニティ「あるままBASE」について、どんな思いで立ち上げたのか、またどんな活動をしてきたのかのお話を伺いました。
「社会課題を解決するために何かしたいけど、何から始めれば良いのか分からない。一歩を踏み出す勇気が出ない。」 そんな、長島さん自身と同じような想いを抱えて動き出せずにいる方たちのための「学びの場」「考える場」「行動する場」の提供を通じて、社会課題解決の担い手を増やしていくことを目指すコミュニティです。
actcoinを運営しているソーシャルアクションカンパニーや、前任の佐藤が代表を務めるリタワークス株式会社とも連携し、ワークショップなど様々なイベントを開催してこられました。
活動を続ける中で、「まず何より、楽しくないと、広がらないし続かない」という想いから、2021年12月には【「楽しい」をエンジンにソーシャルアクションを促進し、SDGs達成・社会課題解決に寄与する】というコンセプトを掲げた「あるままフェス」を企画・主催し、楽しみながら社会課題を学べるセミナー・ワークショップや社会課題に配慮したエシカルグッズのマーケットをご用意されました。同イベントでは、フェス実行委員であるパナソニックやactcoinから、来場者のソーシャルアクションに対してイベント限定通貨「あるままコイン」を付与することで、社会的価値を経済的価値とつなぎ循環させる、という社会実験的試みも初めて行われました。
次に、TBSラジオ「アシタのカレッジ」で番組パーソナリティを務められている塚本ニキさん。
幼いころから読書が好きで、読書を通じて地球温暖化などの社会問題に危機感を感じるようになった、とまずお話をしてくださいました。そういった問題に関心はあるものの、どんな進路を選ぼう、私が本当にしたいことはなんだろう・・と、アルバイトやインターンをしながら葛藤していたそうです。
SDGs、エシカル、サステナブル・・今ではよく耳にする単語も当時は社会に浸透しておらず、ソーシャルアクションを実践したり、また促しても「真面目だね」と他人事で済ましてしまう周囲の人たちに対して、「地球はこんなにもまずい状態なのに、なぜみんなは何もしないの?!どうして自分の身の回りのことにしか関心を持たないの?」と、孤独感や閉塞感を感じながらも、試行錯誤をされていました。
「今になって振り返ると、自分は世界を広く見ているつもりでも自分自身や周囲の人との関係性はないがしろになっていた。負の感情が原動力になってしまっていました」と語るニキさん。
しかし少し時間がたつと、少しずつ周りに変化が表れてきました。安さを重視した消費選択をしていた人が環境に配慮した選択をするようになったり、社会に対する意見を打ち明けてくれる仲間に出会ったり・・さらに、自分のアクションをバカにしてきた友人が同じアクションをとるようになったり・・。時間がたったものの、自分の身の回りの半径5mから、少しずつ社会は変わっていくのだと、自分のアクションは意味があるものだったのだと実感したそうです。
社会変革の実現に必要なのは想像力、独創性、組織化、勇気、統制。
世の中の社会変化において、3.5%の人の意識が、行動が変われば確実に実現される、というハーバード大学の教授の話を最後にされた塚本さん。
どれだけ時間がかかっても、どんなに小さなアクションでも、積み重ねることで絶対に社会は前向きに変わっていく。そんな塚本さんのお話から、actcoinと通ずるものを感じました。
■ゲストトークセッション
それぞれのお話を聴いたあとは、プレゼンテーションをもとにお互いに質問をしあいました。
塚本さん → 長島さん
①社会課題に関心を持ったきっかけは?
②民間企業であるパナソニックで社会課題解決に取り組むのはなぜ?
長島さん:物心ついた時から、テレビのヒーローものが好きで、憧れていました。大人になるにつれ、ウルトラマンにはなれないけれど、少しでも誰かを助けられる仕事って何だろうと考えたときに、法律を学べば社会的弱者を助けられるんじゃないか、って思ったんです。縁があって今の会社に入社をしてから長らく法務の仕事をしていたのですが、ソーシャルビジネスを自分自身の手で創りたいと思い立ち、法務としてのキャリアを捨て4年前に社内転職をしたのが今の仕事につながっています。
なぜ民間企業であるパナソニックで社会課題解決に取り組んでいるかというと、これは私がこの会社に入社した理由でもあるんですけど、パナソニックの創業者である松下幸之助という人は、「社会をよくするための手段として事業を行う」という理念を持っていたからです。
幸之助創業者は、「事業経営というものは本質的には私(わたくし)の事ではなく、公事であり、“企業は社会の公器”なのである」、さらには、「会社の存在が社会のプラスにならないのであれば解散してしまったほうがいい」とまで言っていて、決してお金儲けのための綺麗ごとではない本気度が感じられます。近代資本主義のしくみが転換点にあると言われる今こそ、改めて重要な意味を持つと思っています。
長島さん → 塚本さん
『半径5mにしか関心を持たない周囲の人たちに感じていた憤りなどの心境は、どうして変化したのですか?
塚本さん:苦しくなってしまったんです。自分の中にある理想や現実とのギャップ、「どうして周りはこうしてくれないんだろう」といった、ネガティブな気持ちからエネルギーが生まれていました。
怒りとか、悔しさとか、苦しさとかから湧くエネルギーが必ず悪いものだとは思いません。ふと我に返った時に、「楽しくないな」とか、「もうちょっと自分の幸せを追求しようかな」って思って。一旦それを辞めようって思ったのがきっかけです。楽しいところからエネルギーを作りたいなと思い、そこから少し利己的な部分があってもいいのだと思えるようになりました。
今回「Be the Change」をテーマにしたお話を持続可能な社会を描くときに、社会貢献をする「人」そして「アクション」の持続性の基盤をどのように作っていくと、社会自体が”Change”していくのか。そこに難しさを感じる一方で、actcoinが持つ「繋がり」そして「ソーシャルなインセンティブ」が社会の”Change”のきっかけにもなるのではと感じることができました。
actcoinのこれまで、そしてこれからについてシェア
イベントの中では、2019年から2021年までの3年間どんなことがあったかを参加者にシェアをしました。また代表である上杉・石川から、4年目の構想として「貯めたアクトコイン を寄付や消費に使える」座組みを整えるための具体的な施策についてお話をいたしました。
多くのイベントパートナーからの開催協力
今回のイベントを開催するにあたり、actcoinにご登録をされているイベントパートナーから、多くのご協力をいただきました。
■パナソニックセンター東京から会場提供
今回ソーシャルアクションカンパニーのパートナー企業であるパナソニックセンター東京に開催協力を頂きました。お借りしたのは施設内のうち1階の「ソーシャルアクションフロア」。
”「理想の社会」の実現をめざして、一人ひとりが社会・環境課題に向き合い、年代や所属を超えて、さまざまな人やコミュニティが入り交じり、アクションにつなげる場”というコンセプトを掲げています。
パナソニックセンター東京は、CO2を排出しない「CO2ゼロショウルーム」。それだけではなく、資源の有効活用や廃棄物の削減にも取り組みを拡げています。
■ルーティヴ株式会社から受賞者へのトロフィーの贈呈
今回受賞されたソーシャルアクターの皆様には、ルーティヴ株式会社(本社:石川県金沢市)が制作する流木製のトロフィーを贈呈いたしました。同社は「森が循環し、森が健全となる仕組みを作る」をコンセプトに、間伐材を利用したモノづくりや森林に特化したイベントの企画運営に取り組んでいます。
国産森林資源、国内製造にこだわり、森林の保全に繋がる製品をご提案いただき、初めての開催となるactcoinソーシャルアクター表彰式に相応しい世界にたった一つのトロフィーを製作いただきました。
■エシカルグッズセレクトショップ「ORblueNa」から副賞を贈呈
受賞者への副賞として、actcoin登録団体である表参道・原宿のエシカルショップ「オルブルーナ」監修のもと、人・自然・社会にやさしいグッズをプレゼント。 石鹸や入浴剤など、日常のライフスタイルの中で取り入れやすい素敵な商品をご用意いただきました。
他のイベントパートナーについてはこちら(随時更新)
まとめ
このたびサービスローンチから3周年を迎えたにあたり、お祝いの言葉をくださいました皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
actcoinのサービスが始まって数ヶ月のうちに新型コロナウイルス感染症が社会に蔓延し、やりたかったことができなかった3年間。それでも、actcoinが持つ可能性を信じ応援し続けてくださった皆様、本当にありがとうございました。
この3年間を糧に、 今後もすべての方に多様な「社会問題との向き合い⽅」を提供することで社会問題解決の担い⼿を増やし、⼩さな⼒を集めることで⼤きな社会を変えていく⼒を創出できるよう、一層の努力を重ねて参ります。
そして4年目は私たちにとって大きな「Change」の1年です。これまでそれぞれが積み重ねてきたソーシャルアクションを、財団の設立を通じて新しい価値に変換し、社会に還元させるという目標の実現のために奔走を重ねていきます。
これからもactcoinと共に、ソーシャルアクションの輪を広げていただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。