皆さんこんにちは。actcoinforyouthのはるのんです!本日は、ソーシャルウィークエンド1月のイベントレポートを書きたいと思います。新型コロナウイルスの猛威は止まず、中々外出できない昨今、オンラインイベントを通し充実した時間を過ごすことは私にとって大切なことの一つです。
はじめに
本日ゲストにお迎えしたのは、現在東京スター銀行でCSRを担当されている牛堂望美さんです。牛堂さんはこれまで国際NGOでのキャリアも経験されるなど、社会貢献に深く関わってきました。現在は、これまでの活動や知識を生かし、貧困の連鎖の解決に関わる事業に、 東京スター銀行として取り組まれています。講義では、牛堂さんのこれまでのキャリア変遷と、貧困の連鎖を防ぐ金融リテラシーの重要性についてお話しいただきました。
キャリア変遷
大学時代は心理学を、大学院で国際開発・国際協力について学んだ牛堂さん。大学院時代には、1年の休学をし、NGOのタイ事務所でインターンを経験します。その他にも、さまざまなボランティアやNPOでのアルバイトなどを経験し、新卒では、人材育成関係のベンチャー企業に勤め、その傍ら土日に様々なプロボノ活動もしていました。
そして、東日本大震災が起こった後、友人からの紹介を受けた牛堂さんは国際NGOのSave the Children Japanに在籍します。子どもの貧困に興味があったと話しています。しかし、 Save the Children Japanであらゆる事業をサポートする役割の中で、『自分も事業を行いたい』という思いが強くなり、6年前に東京スター銀行のCSR担当となりました。
正解探しではなく、「自分が何をやりたいか」
このようにキャリア形成に悩む若者にアドバイスを下さった牛堂さん。その時々の自分に、必要なものややりたいことを見つけ、それを本当に実現するだけの行動力とスキルがあることに感銘を受けました。「仕事もボランティアも両方、目の前のことに一生懸命取り組んだことが、次に繋がった」と教えてもらいました。
貧困の連鎖
日本では、7人に1人の子どもが相対的貧困に陥っています。
「貧困」というのは、経済的困難にとどまらず、親子との関係や社会的なチャンス、自己肯定感など様々な重要な要素と深く関わっており、「複合的な問題を孕んでいる」と言えます。
そのような、精神的や、社会的な影響は、成長し大人になった後も大きな影響を及ぼし続け、若者の貧困⇒大人の貧困⇒次世代の子どもの貧困というように、その連鎖は簡単に断ち切ることが出来ません。
そこで、そういった世代間連鎖を防ぐため、牛堂さんは、子どもに対する金融リテラシー、お金に対する知識や見方を教育する講座を東京スター銀行で行っています。
金融リテラシーとは
金融リテラシーとは、金融知識や人生設計など、一人ひとりが、より自立的で安心かつ豊かな生活を実現するために必要な知識や態度、行動のことを言います。
金融リテラシーと貧困の関連性
金融広報中央委員会の調査(2016)によると、年収300万円未満の人で、約4割の人が、「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」という項目に「はい」と答えました。一方、年収750~1000万円の人の中では、同じ設問に「はい」と答えた人は1割ほどにとどまりました。
このように、金融リテラシーと、収入などの経済的な状況には大きな関わりがあることが分かります。
金融リテラシーと子ども
では、そのような金融リテラシーは、一般的にどのような場所で身につけるものなのでしょうか。
こちら👆は牛堂さんが講義の中で用いられた資料です。皆さん、ご自身が子どもだった時のことを思い出し、上の項目で、当てはまるものに✔を付けてみて下さい。Aの列とBの列、どちらに多く✔が付くでしょうか。
Aに多く✔が付いた人は、金融リテラシーが身に着きやすい家庭環境であったといえます。Bに多く✔が付いた人は、金融リテラシーが身に付きにくい環境であったといえます。
こんなにも些細な日常生活の言動が、子どもの金融リテラシーや、その子の将来の経済的状況に影響を及ぼすのですね。
経済的な余裕がない家庭などにおいて、金融リテラシーが身に付きづらい環境で幼少期を過ごし、その後、貧困の世代間連鎖に繋がることが予想されます。
金融リテラシーの欠如が人生で致命的になるということを逆手に取り、金融リテラシーをセーフティ・ネットとすることを、牛堂さんは目指しています。
子どもへの金融リテラシーの教育
上記のような背景から、子ども達に金融リテラシーの教育を提供している東京スター銀行。子どもにとって、金融の面での自立の理想は、「金銭感覚」「金銭管理」「リスク管理」の知識やスキルが身に付いていることで、これらが身に付くことが、将来的な『安心・豊かな生活』に繋がるといいます。
子どもへの金融リテラシーの教育は、学校でもある程度行われていますが、学校以外の場(NPOや児童養護施設など)でも金融リテラシーの教育は必要だと言います。
東京スター銀行では、2016年に「発達療育センターからの依頼」を受け、子どもたちの金融リテラシーの状況を認知したあと、NPOや施設で出張講座を行っています。まさに相対的貧困の解決に貢献する活動を行われていますね。
子どもに向けた金融リテラシーの教育は、基本的なことを身につけてもらうことから始まります。「お金の仕組み」「働く・お金を稼ぐ」「上手に使う・貯める」「危険を避ける」と言ったことです。こうした基本的な金融的な見方を身につけた後は、お金のため方や使い方についての「自分の価値観」を知る・形成するというステップに進むと牛堂さんはおっしゃっていました。さらに、一般的な「普通」を押し付けず、自分なりの価値観を形成してもらうことで、「希望と自信」を感じてもらい、彼らの心理的な成長にも寄与しているとのことでした。
さいごに
日本の子どもの貧困の現状から、金融リテラシーの重要性まで、幅広くお話して下さった牛堂さん。貧困の連鎖に関する社会問題と、東京スター銀行が行われている金融リテラシー教育の事業が、どのように繋がっているのかを非常に分かりやすくお話下さいました。比較的困難な状況にある子どもたちのことを考え工夫された出張講座も、非常に素晴らしい取り組みだと思いました。「銀行」という企業でも、社会の問題の解決に貢献できる事業を実施できるということも、今回の講義で知ることが出来て嬉しかったです。
また、最後には、「こういったイベントに参加している皆はきっと自分が満足できるキャリアにつけると思います、大丈夫ですよ。」と、進路に悩む学生に激励の言葉をかけてくれた牛堂さん。
この度は、ご登壇本当にありがとうございました。